実務経験の考え方
外国人が就労ビザを取得するには、原則として学歴要件が必要になってきます。学歴要件とは、大学以上を卒業して学士の称号を持っているというものです。ただしこの学歴要件が免除されるケースがあり、それが「実務経験の証明」になります。
実務経験の証明とは、過去に同じ業務内容を行っていてその分野のスキルがあることを示すことになります。
なお実務経験では、正社員や契約社員として活動した内容について認められ、アルバイトやパートタイムでの経験は含まれません。
認められる実務経験
- 正社員
- 契約社員
- 派遣社員
- 会社経営
認められない実務経験
- アルバイト
- パートタイム
- 個人事業主(正式に証明ができれば、認められる可能性あり)
実務経験の必要な年数
実務経験で証明する場合には、外国人が行う業種ごとに求められる実務経験年数が異なってきます。
- 技術(エンジニア等):10年以上
- 人文知識(営業や企画・設計等):10年以上
- 国際業務(翻訳・貿易業務等):3年以上
- 料理人:10年以上
- スポーツ指導者:3年以上
- 動物の調教師:10年以上
- ソムリエ:5年以上
その他、業務内容については原則として10年以上の実務経験があれば認められる形となります。
なお実務経験は、過去の職務内容全てにおいて認められ、在職証明書が取得できれば合算して計算することが認められておりますが、例えば必要な実務経験が10年であれば、確実に10年以上ある必要があり、これが9年11か月だったとしても認められませんので、年数にはご注意ください。
証明の仕方
実務経験を証明する方法は、在職証明書を取得して証明する形になります。
在職証明書が取得できない場合は、実際に経験があったとしても証明ができないので、実務経験として認められなくなってしまいます。
例えば、「以前勤めていた会社が倒産してしまっている」「前の会社をケンカして辞めた為、頼めない」「違法な働き方をしていた為、証明書が発行できない(例:異国で就労ビザなく働いていたなど)」が該当します。
在職証明書にはフォーマットはないですが、証明書の内容には注意が必要です。
記載すべき内容
- 会社に所属していた期間
- 会社で行っていた業務内容
- 会社の名前
- 会社の代表者のサイン
入管は、在職証明書に記載されている会社が本当に実在するのかの確認もしますので、HP等がない会社の場合には会社が実在することを証明する書類も用意しておくと万全です。
また、在職証明書には有効期限はございませんので過去に取得した在職証明書であっても使用可能です。
審査の基準について
実務経験での就労ビザ申請は、通常の学歴での証明に比べて審査が厳しくなる傾向にあります。その理由としては、実務経験の在職証明書は偽装されやすい資料だからです。
例えば、「実在しない会社で在職証明書を作る」「在職していた期間を伸ばす」「行っていた業務内容を変える」など、偽装を行ってしまうと、審査の中でその偽装が判明した場合には、その外国人の申請は今後すべて虚偽の疑いがあるとしてビザ取得ができなくなってしまう可能性がありますので、絶対に虚偽書類は作成しないようにしてください。
実務経験での審査ポイントは、実務経験の信憑性とその内容になります。
信憑性には、ビザ申請時の申請書や履歴書と相違がある場合には、認められなくなってしまいますので、矛盾がないように申請するように気を付けてください。