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高度専門職とは?
高度専門職ビザとは、簡単に言うと「優秀な外国人」という立ち位置の方に付与される就労ビザの1つになります。日本としては、優秀な人材に日本に来ていただくことで日本国に対してイノベーションを起こし専門的な技術の進化を期待しているおり、そのために日本を選んでもらえるような優遇措置を設けております。
そしてこの高度専門職ビザの可否について、2012年からポイント制が適用され「学歴」「職歴」「年齢」「経験」などを総合的に判断して、70ポイント以上を獲得することで該当するというシステムに変更になりました。
また高度専門職ビザは入国管理局が該当性があるかを勝手に判断してくれるわけではなく、自ら証明をして“私は高度人材です”と申請をする必要があります。
合わせて高度専門職ビザは優遇措置がありとても良いのですが、1点注意が必要なのが転職をすると再度申請を必ずし直さないといけないという点です。通常の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)ですと転職をしても届出をするだけで問題はないのですが、高度専門職ビザの場合は会社ごとに取得することになりますので、高度専門職ビザを取った会社以外で働く場合には、再度必ず申請をする必要がございます。
優遇措置の内容
1.複合的な在留活動の許容
通常の在留資格は、その許可された在留資格の範囲内でしか認められず複数のことを行うことは認められておりません。(状況によっては資格外活動許可を取得して可能)
ですが、高度専門職ビザを取得した高度人材外国人は,複数の在留資格にまたがるような活動を行うことができるとされております。
2.在留期間「5年」の付与
就労ビザの場合には、1年・3年・5年の在留期間があり、外国人在留状況や会社規模に応じて年数が決められますが、高度専門職ビザを取得した高度人材外国人の場合には,最長の在留期間である「5年」が会社規模等に関わらず必ず付与されます。
3.在留歴に係わる永住許可要件の緩和
日本の永住権を取得するためには,原則日本に引き続き10年以上居住し、うち5年間就労ビザで活動している必要があります。(身分系の在留資格は除く)
ですが、高度専門職ビザを取得している高度人材外国人の場合にはポイントが70ポイントの方は引き続き3年間、80ポイント以上の方は引き続き1年間で永住権の申請ができるようになり、大幅な年数の緩和がされております。
4.配偶者の就労
通常、外国人の配偶者は家族滞在や就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)を取得しなければ働くことができなく、就労ビザには学歴や職務内容の要件がございます。ですが、高度専門職ビザを取得している外国人の配偶者であれば、この学歴要件がなくフルタイムで働くことが可能となります。
5.一定の条件の下での親の帯同の許容
日本では外国人の親を呼ぶ在留資格は存在していないのですが、高度専門職ビザを持っている高度人材外国人であれば一定の条件のもとに親を日本に呼ぶことが可能です。
- 7歳未満の子(養子を含む)を養育する場合
- 妊娠中の配偶者または本人の介助等を行う場合
上記の目的で世帯年収で800万円以上あることも求められております。
6.一定の条件の下での家事使用人の帯同の許容
外国人の家事使用人(メイド)のビザは在留資格が経営管理又は法律会計業務の外国人が雇用する場合のみに認められておりますが、高度専門職ビザを持っていれば一定の条件をクリアすれば13歳未満の子どもを養育する目的などで家事使用人(メイド)の帯同も可能となります。
- 世帯年収が年収1000万円以上
- 家事使用人(メイド)の給与が月20万円以上
7.入国・在留手続の優先処理
高度専門職ビザの申請は通常の申請よりも早く処理をしてもらえます。
具体的には在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる場合)の場合には申請受理から10日以内を目途に、在留資格変更許可申請の場合には申請受理から5日以内を目途に行われています。
※実務上は2020年時点の東京入管では認定が1ヶ月未満、変更が2週間程度の審査目安となっております。
高度専門職の種類
高度専門職には1号と2号とがあり、1号は活動する内容によって申請する内容が変わってきます。
高度専門職1号イ
1号イは、研究や教育職に従事する場合に該当する場合を指します。
入管では「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導又は教育をする活動」と定義されております。
在留資格で言うと、「教授」「研究」「教育」のビザで活動する場合で高度専門職1号を申請する場合には“イ”での申請になります。
高度専門職1号ロ
1号ロは、自然科学や人文科学に従事する場合に該当する場合を指します。
入管では「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動」と定義されております。
在留資格で言うと、「技術・人文知識・国際業務」「技能」「法律・会計業務」「企業内転勤」のビザで活動する場合で高度専門職1号を申請する場合には“ロ”での申請になります。
高度専門職1号ハ
1号ハは、経営または管理に従事する場合に該当する場合を指します。
入管では「本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動」と定義されております。
在留資格で言うと、「経営管理」のビザで活動する場合で高度専門職1号を申請する場合には“ハ”での申請になります。
高度専門職2号について
高度専門職2号になるには、高度専門職1号にてその活動を3年以上行えば高度専門職2号にビザを変更することが可能です。
※ポイントが70点以上が引き続き維持されていることが必要となります。
※高度専門職2号には、1号のようなイ・ロ・ハのような区別はありません。
高度専門職2号のメリットとは?
高度専門職2号になるメリットは下記になります。
- 在留期間が「無期限」になる
- 高度専門職1号のメリット7つの優遇措置はそのまま
- 他の在留資格の活動もほぼすべて可能になる(単純労働は認められないとされています)
- 永住権の申請に比べて審査期間が短い
※高度専門職1号とは違い転職しても届出は必要ですが、ビザ変更をする必要がありません。
注意点としては高度専門職1号と同じで会社に紐づけられている在留資格になりますので、会社を辞めてしまって6ヶ月以上経つと取消対象になってしまいます。