外国人の会社設立の流れ
日本在住の外国人が日本で会社設立する際の全体の流れを記載します。
株式会社であっても合同会社であっても経営管理ビザの取得は可能ですし、基本的な流れは下記で一緒になります。
1.会社の基本事項を決める
「会社名」「会社所在地」「事業目的」「資本金」「会社設立希望日」等などがあります。
2.会社の住所を決める
詳しくは後述しますが、オフィスを契約する際には名義を法人名義にしたり、用途を事務所にしたりする必要がございます。
3.定款の作成
会社の基本事項をもとに定款を作成していきます。
4.定款の公証
公証役場で作成した定款を公証してもらいます。(合同会社の場合は不要)
5.資本金の振込み
詳しくは後述しますが、発起人または設立時取締役(委任状必要)の口座に資本金を振込みます。仮に日本円以外で資本金の払い込みの場合は、振込があった日の為替相場(金額を為替に基づき、日本円に換算)を記載する形になります。
(例:〇年〇月〇日1ドル=〇〇円)
6.登記申請を行う
管轄の法務局に登記申請書等を提出します。(郵送可)
7.登記申請後に、法人設立の届出を行う
「税務署」「都道府県県税事務所」「社会保険事務所」「労働基準監督署」「公共職業安定所」等に法人設立の届出を出します。
※税務署の開業届は、経営管理ビザの申請の時に必要なので、税務署印がある控えを必ずもらうようにしてください。
注意する点について
一般的な会社設立の流れは上記で説明した通りになりますが、外国人の方が会社設立後に経営管理ビザを申請する予定であれば、日本人の会社設立とは違い注意する点がいくつかあります。
注意する点
- オフィスの契約
- 資本金の払込み方法
- 役員の人数
- 役員報酬の設定
- 事業計画書の内容
オフィスの契約
オフィスの契約にも注意が必要です。
最近はパソコンとスマホがあれば、オフィスがなくても仕事ができますが、経営管理ビザを取得するためには、オフィス契約が必要になります。またオフィスの契約は「用途が事務所」で「契約者が法人」である必要があります。
ここで問題となるのが、会社設立中にオフィスを法人契約できるところは少なく、最初はどうしても個人契約になってしまいます。そのため、事前に不動産屋に会社設立後に個人名後から法人名義に変更をしたい旨を伝えておく必要がございます。
またオフィスの形態ですが、自宅兼事務所は原則NGで、独立したスペースである必要があります。
細かなオフィス要件は下記からご確認いただけます。
資本金の払込み方法
経営管理ビザの要件の1つに「出資」要件があります。
これは日本で会社経営をする外国人は、法律上は資本金または出資金が500万円以上必要であるとなっておりますが、実質その金額が500万円の出資であることを証明するためには、500万円を資本金として登記するのが一般的なやり方になります。
そしてその500万円の資本金は見せ金ではダメで、自己資金等の事業用のお金である必要があるので、どういった経緯で集めた資金なのかを証拠として残しておく必要がございます。
例えば、国際送金の履歴・金銭消費貸借契約書・通帳のコピー(振込人名義があること)
そのため、現金などのやりとりで資金を集めると、資金収集のルートが判別できないため、経営管理ビザの申請では不利になります。
資本金の振込みについての詳細は下記よりご確認いただけます。
役員の人数
経営管理ビザは、経営または管理をするためのビザになりますので、これから会社設立をして小規模で事業を開始していく場合は、原則として役員は経営管理ビザを取りたい外国人1人の方がよいです。
というのは、役員が複数人いると経営管理ビザを取得する人の役割が不透明になるからです。
仮に従業員が10名以上等の規模の会社であれば、役員が複数人いても、経営者(CEO)と最高財務責任者(CFO)・最高マーケティング責任者(CMO)など役割を明確に分けることが可能となるので、問題はございません。
役員報酬の設定
ビザに詳しい行政書士以外に会社設立のサポートを依頼すると、最初は役員報酬0円で設定した方がよいというアドバイスを受けることがあります。
これは日本人の場合では戦略の1つとしてはいいのですが、経営管理ビザを取得したい外国人にとっては致命傷になります。
というのも、役員報酬が0円ということは、収入が0円ということを示しており、生活していくことができないことを自ら証明することになってしまいます。
ですので、経営管理ビザの取得を考えているのであれば、必ず生活ができる最低限な役員報酬の設定は必要になります。
事業計画書の内容
経営管理ビザを取得するには、事業計画書の内容も大切になってきます。
記載すべき内容は下記になります。
- 会社設立するに至った経緯
- 扱う商品やサービス
- 販売方法
- 営業方法
- 仕入れ先
- 集客やプロモーション方法
- 収支計画(最低でも1年間)
以前は、この事業計画書について緩く審査されている時期もありましたが、現在は実現可能性も含めてしっかり審査されます。
行うとするビジネスに関しては、入管の審査官は素人なのでわかりやすく説明する必要があり、すでに取引先はコンセンサス(同意)がとれている会社があるのであれば、証拠書類として提出すると具体性を示すことができ、審査にも有利にはたらきます。
また最低でも1年間の収支計画書も必要で、年間の売上と利益がどの程度でるのかの予測数字を作る必要がございます。新設会社の場合は、初年度赤字というのが一般的ですが、経営管理ビザの場合には、赤字ではなく黒字で計画を作る必要がございます。仮に赤字になってしまう場合には、2年後や3年後の収支計画書も作りアピールしていきます。